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法律事務所のガイド

2015.04.23
  • 川合正倫(日本国弁護士)中国における法務事情 第五話
  • 商業賄賂規制
  • 中国特有の概念である「商業賄賂」は中国業務に携わる者にとって理解が不可欠な分野ですが、近年の中国政府による公務員・国有企業の汚職防止取締りの強化に伴い、数年前まで業界慣行として行われていた行為であっても問題視されるケースが多発しています。そこで、商業賄賂の基本的なポイントを改めて紹介します。

ビジネスガイド 川合 正倫

商業賄賂の事例


大手飲料メーカーが新商品を販売するにあたり、小売業者に対し、陳列費及び場所代として約25万元相当の現物で支払い、販促費用として記帳していたところ、商業賄賂にあたるとして大手飲料メーカーが処罰された。


商業賄賂とは


上記の事案は、実際に違法所得の没収と過料の行政処罰が課された事案です。新聞報道等によくみられる、公務員や、国有企業幹部に対して現金や豪華品を供与した事案が賄賂として処罰されることは容易に理解可能ですが、上記の事案では、一体何が問題とされたのでしょうか。


日本では、主に公務員に対して職務に関する不正な報酬としての利益を供与することを賄賂として捉えていますが、中国では民間に対する行為も商業賄賂として広く規制されています。


それでは、商業賄賂の供与とはどのような行為をいうのでしょうか。


商業賄賂行為とは、事業者が、財物又はその他の手段により、商品を販売又は購入するために、相手先である法人又は個人に対して賄賂を贈る行為をいいます。


この文言だけでは理解が難しいですが、事業活動において、公平競争の原則に反して、財物等を提供することにより、取引機会や経済的利益を提供する行為を指すと考えられています。つまり、中国の商業賄賂規制は、民間における「公平な競争」を保護法益の一つとし賄賂を受け取る主体を公務員に限定していない点(公務員や国営企業の職員に対する賄賂も当然規制されています。)で、「公務員の職務の公正に対する信頼」を保護法益とし公務員に対する贈収賄行為を規制する日本の制度と大きく異なるのです。


禁止される具体的な行為


実体を伴わない費用の支払い、適切な会計処理を経ない価格割引、過度な接待や贈答の方法で金銭的利益を供与することに加え、帳簿に記帳せずに密かにリベートを贈ることも禁止行為に含まれます。


冒頭の事例は、現物での支払いが実質的な価格割引に該当するにもかかわらず、販促費用として処理した点が問題視されたと考えられています。この他にも、仲介業者を通じて取引相手の出張費用(宿泊費や食費等)を負担した事案、販売担当者にリベートをキックバックした事案、架空のサービスに対するコミッションの支払いをした事案、ゴルフクラブを贈答した事案などがあります。


いくらまでなら問題ないのか?


我々弁護士は「いくらまでなら許されますか?」という質問をいただくことがあります。社内管理上は一定の明確な金額基準があると望ましいという事情はよく理解できますが、一定の金額基準を設けることには慎重になるべきだと考えています。


一例をあげると、賄賂と、許容される贈与との区別については、授受がなされた背景(友人関係の有無等)、授受された財物の価値、授受の理由や時期及び方法(誕生日プレゼント、春節ギフト等)、結果としての受贈者による利益提供の有無等の事情を総合的に考慮して判断されることになります。このため、客観的には同じ価値(金額)の物を授受した場合であっても、状況によって商業賄賂を構成する場合とそうでない場合が生じえます。また、少額のプレゼントであってもそれを繰り返すことにより商業賄賂に該当する事態も考えられます。


「上有政策、下有対策」という言葉に示唆されるように、故意に違法行為をする人は頭を使って工夫をします。コンプライアンス上の問題について、「●●までであれば問題ない」といった制度を導入する場合、その基準が一人歩きして事態が発展し、結果的に会社として違法行為を許容する制度を有していたとのそしりを受けることになることも考えられます。


商業賄賂の罰則


賄賂行為が不正競争防止法違反にとどまる場合には、違法収入の没収及び1万元以上20万元以下の過料を科されることになりますが、犯罪を構成する場合には刑法が適用される結果、高額な罰金を受け、さらに責任者が懲役刑等に処される可能性があります。


これまでに外資系企業の外国人管理者や中国人業務責任者が逮捕され、懲役刑に処された事案が複数あり、2014年9月に出された英系製薬会社による贈賄行為に関する判決では、法人に対して30億元の罰金、英国人総経理に対して執行猶予付き3年の懲役刑、その他の中国人幹部4人にも2年から3年の執行猶予付き懲役刑が言い渡されています。


また、中国での公務員等への贈賄行為が日本法の域外適用を受けることがあります。例えば、中国現地工場の違法操業を黙認してもらうため、政府幹部に約45万円の現金と女性用バッグを渡した行為が日本の不正競争防止法(外国公務員への贈賄)に違反するとして日本人経営者が日本で逮捕・罰金刑を受けた事案があります。このほか、アメリカの海外腐敗防止法(FCPA)やイギリスの贈賄防止法(Bribery Act)は広範な域外適用が認められうる法律であり、注意が必要となります。


まとめ


中国政府による公務員・国有企業の汚職防止取締りの強化に伴い、数年前まで業界慣行として行われていた行為であっても問題視されるケースが多発しています。外国におけるリスク管理の特徴として、ひとたび政府機関等に問題視された場合には、莫大な費用と手間をかけて対応する必要が生じてしまいます。日常業務において商業賄賂とみられる可能性のある行為が行われていないか、商業賄賂を許容していると捉えられうる社内制度が残っていないか等の事前の点検をし、積極的な防止策として社員教育や内部通報制度の確立を検討することをお勧めします。



*本投稿は読者の皆様の参考に供するために一般的な情報を簡潔に提供することを目的として筆者の個人的見解を記載しており、当事務所のアドバイスを構成するものではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず専門家にご相談ください。




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第一話 なぜ中国で法務が重要なのか
第二話 中国からの撤退手段について最低限知っておくべきこと
第三話【重要法令情報】外国投資法(パブコメ版)の公布
第四話 規制緩和と規制強化
第五話 商業賄賂規制


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