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コラム

上海1930年 尾崎秀実寸描 【上海の街角で 井上邦久】vol4 (読む時間:約2分) 2015.02.09


 朝の通勤は、アパートの人たちと声を掛け合い、花屋の譚さんの元気な顔を見ることから始まります。古北路を曲がって、仙霞路と婁山関路の交差点の新聞スタンドに近づくと、煙草の手を止めた店主が「参考消息」と「環球時報」を揃えて渡してくれます。その日の紙面が日本に関してどんなに激烈で深刻な文字や写真に溢れていても、坦々と畳んでくれて「謝謝」と一言です。「環球時報」が1元50銭に値上がりしてから、2元50銭を持参するようにしています。時に小銭が足りない場合には「次で良いから」方式に甘えています。毎週木曜日発売の「南方周末」は、昨年3元から5元に大幅値上がり、今年になって紙面サイズがスリムになり実質再値上げ。しかし問題は価格や減量ではなく、紙面の中身にスクープ性が減り、鋭さを感じなくなったことです。一月の天覧相撲の無難で単調な取組を蒸留水相撲と批評しましたが、昨今の「南方周末」の蒸留水紙面も同様に無味無臭で無害です。


 大阪朝日新聞社の上海通信部に赴任する前に、尾崎秀実は一高・東大独法科で一緒だった羽仁五郎に中国に行ったらどういうふうに勉強をすればよいか、と訊ねた。すると羽仁五郎は、
 「新聞を読むことだ」
 「もちろん、新聞を読むことは仕事のうちだから・・・」
 「そうするつもりぐらいではだめだ。よく読めるようにならなければいけない」

 「よく読めるようになるには、二、三年はかかるよ」
 「いや二、三ヶ月でよく読めるようにならなければだめだ」(中略)
 「一日のうちで、いちばん頭の働きが良い時に新聞を読むことだ。大学を出た連中は、分厚い本を机の上にのせて読むのに、新聞は食事をしながら読んだりする。あれではだめだ。(中略)赤と青の鉛筆を使い、一字一句考え、批判し、それが真実かうそか見分け、前日の新聞や、これまでに知っている知識とも照らし合わせ、ノートをとりながら研究的に読むことだ」
 長い引用のあと、「尾崎秀実はこの友人の忠告を、忠実に実行した。新聞を丹念に読むだけでなく、現実にも真剣に対処した。動きつつある中国の現実が、尾崎の良きテキストになったのである」と実弟の尾崎秀樹は『上海1930年』(岩波新書)の序章に書いています。


 虹口の北四川路周辺を活動の拠点とした尾崎秀実は、魯迅やスメドレーらと交流し、内山書店への借金を重ねながら、中国とそれを取り巻く世界の動きを照らし合わせました。そして、1930年前後の上海で育まれた人との繋がりや歴史認識が後にゾルゲ事件という結果に繋がりました。(了)


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